NHKで夕べ放送された「フェイク・バスターズ」が「出版の自由と医療情報」について取り上げていました。
科学的根拠の裏付けがない情報が書かれている書籍が流通することの悪影響にふれる内容になっていました。
大手出版社の校閲室にカメラが入り、図表や内容を吟味するシーンが放送されたあとに
名前を明かさない出版社への取材の回答として、音声のみで「裏付けはとっていない。著者の主張を尊重する」という場面が映し出されました。
出版物には言論の自由があり、それを規制するのは難しいとしつつ、消費者も書籍の真贋を見分ける必要性もあるとして
「標準治療」は、科学的根拠に基づく今現在受けられる最善の治療であることを知り
その標準治療を真っ向から否定している本や、巻末で何かの販売を促進する本は、吟味すべきとしていました。
さらに、標準治療を否定する本も提供せざるを得ないことに心を痛めている図書館職員の話に移り
その図書館では情報が古くなっている可能性があるため、出版から5年以上経ったがん関連の本は、目立つ位置に置かないようにしたり
国立がんセンターが出している資料をがん情報コーナーに、ほかの本と一緒に並べるなどして
図書館を利用する人が、正しい情報を得られるように努めていることが紹介されていました。
以前、出版業界にとって、「〇〇で治る!」といった医療本はドル箱だと医師が書いた本で読みました。
それを、この番組では「〇〇だけ」とか「〇〇すれば」という本は一番信用しちゃダメ!と、はっきりと言っていました。
業態にメスを入れる形となった踏み込んだ内容に、世の中は変わってきてるんだなと、感じました。
何より、図書館の取り組みには感心しました。
定期的に地域の人が誰でも参加できる「がん」の勉強会を開くこともしているそうです。
そこまでするほど、誤情報が記載されている出版物が氾濫していて、
利用者が望めば、その本を提供せざるを得ないのが図書館だという現実の悩ましさに、同情もしました。
私が利用する図書館では、国立がんセンターの資料は見かけたことがありません。
ネットでことたりていましたから、私としては問題ありませんが、ネットを利用しない人にとって図書館は、情報を得られる貴重な場ですから
全国的に、同じ取り組みが広がるといいなと思いました。