家から駅までの近道に、階段があります。
先日、その階段を上っていたとき、おばあさんが傘を杖がわりにして下りてきました。
かなり、足腰が弱っているようで、見るからに危なっかしい様子でした。
とはいえ、おんぶして下りてあげるほどの体力は、ありません。
手をとって、支えてあげようにも、私とて骨転移していますので、骨折に注意しなければいけない身体です。
いっしょに転げ落ちるわけにもいきませんから、何もできず
それでもせめて、ころんだりしたときは助けに行ったほうがいいかと、もどかしく思いつつもただ、見ていたんですが
後ろから「あのおばあさん、危ないよねえ」と、声が聞こえました。
振り返ると、階段を上り切ったところにあるマンションの管理人さんでした。
ほうきを持っていましたので、掃除の途中だったようです。
「危ないなあと、思うんだけど自分だってもう歳だから、何もできないんだよねえ。
階段は危ないよって言っても、いつもこの階段下りていくからさあ
せめて、折りきるまでは見てるようにしてるんだよ」
と、私が思ったことと同じことを話してくれました。
見たところ、70代ぐらいのおじいさんでした。
手をとって、助けることはできずとも、見守ることだけでも、と思う人がいる社会。
情けは人のためならずと、言いますが、私もどこかで転んだり、階段から落ちたりすることもあるかもしれません。
そうなったとき、助けてもらうこともあるでしょう。
できないことは、たくさんありますが、できることもまた、たくさんあります。
そんなことを考えながら、おじいさんと二人でおばあさんが階段を下りきるまで、ずっと見守っていたところ
無事に下りられて、ほっとしました。