先日の通院時、髪型の話から毛量が減った話になりました。
抗がん剤の副作用で、みごとな三蔵法師になったあと、服用が終わり、髪がまた生えてきました。
でも、量が以前の半分ぐらいしか戻ってきていません。
それは、まつ毛や眉毛も同じことで、体毛全体が薄くなっています。
特に気に病んでいるわけではなく、流れでそういう話をしただけだったんですが、主治医がちょっと沈んだ表情になってしまいました。
普段は、とても明るくて、軽妙な会話をしてくれているので、驚きました。
考えてみたら、私の主治医ですから、乳腺外科の専門医です。
診ている患者の多くが乳がんで、抗がん剤を服用して、脱毛の副作用を経験しているのですよね。
患者によると思いますが、脱毛を苦にした会話も多くなっていることでしょう。
さらに、乳がんですから、乳房切除という悲しい手術をした人も多くいます。
悪くならなければいいじゃないか。
命あっての物種。
そんな言い方をする医師ではありませんので、余計に苦慮しているのだなあと、感じました。
髪や乳房を失うこと=命にかかわることではありません。
でも、心の痛みや喪失感が大きなことですから、そこに医師が対峙するのは、たいへんですよね。
だって、どうしようもないんですものね。
髪をはやす薬も、乳房をよみがえらせる魔法もない以上、かける言葉に困ってしまうでしょう。
患者の心に寄り添ってくれない医師の話も見聞きします。
私の主治医は、患者の痛みを共有してくれる医師で、とてもありがたいことだと改めて感じました。
これからも信頼して、治療に励んでいこうと思います。