私が受診しているT病院は、総合病院なので
待合室は「外科」のフロアになります。
ほぼ完全予約制なので、待ち時間はほとんどないのですが
医師の数もかなり多いので、待合室には、たくさんの人がいます。
その中には、たいてい数人のがん患者がいます。
抗がん剤で脱毛した人がかぶる医療用キャップを着用していてわかる人もいますし
受付の職員さんと話している内容が聞こえてきてわかることもあります。
職員さんとの会話だけで、初老の男性が肝臓がんで、すでに7回手術を受けていて
近々8回目の手術を受ける予定だとわかってしまったこともありました。
2人に1人が、がんになる時代だそうですが
外科待合室にいると、それが本当なんだなあと、実感させられます。
ごくたまに、医療用キャップをかぶっている若いお嬢さんを見かけます。
そういうとき、なんともいえずやりきれない気持ちになります。
病院に自分で来ているので、治療中であり
治療を受けられる状態でもあるということですから
悲観的にばかりとらえる必要はないのかもしれません。
治るといいな、と思いますし
治ってほしいと思います。
ただ、治るにしても、若くてきれいで楽しい時間を
病気と戦うことに費やさねばならないことが、気の毒でたまりません。
こんな初老のおばさんに同情なんてされたくない!と、思われるのかもしれません。
でも、やっぱりね。
人のことを心配している身ではないことも、十分承知の上で
病気って、なんとも暴力的に人の人生に介入してくるものか
なんとかならないのか…と、思ってしまいます。
もちろん、災害やテロなど、ほかにもいくらだって
人生に唐突に介入してくる暴力的事案はあります。
人はみな、「こう生きたい」という思いがあるでしょう。
でも「こう逝きたい」は、多くの場合、選べないという
当たり前の事実が、なんともやるせなくなるときがあります。